「きゃっ!」
「っ、悪ィ」

廊下の角で軽い衝撃を感じた。
こっちにとっては軽いもんだったが、相手は叫びながら尻もちをついた。
スカートの中に目がいきそうになったのを必死でこらえ、誤魔化すように手を差し出す。

「ごめん、ありがと……きゃぁっ!」

相手の手を掴みあげながら、柔らけぇ、と驚いた瞬間、全身にその柔らかいものが触れた。
力加減がわからなくて、引っ張りこんでしまった。
こっちは硬直してしまう。

「ごめん、平和島くん!」
「あ、いや……えーと、お前は」
だよ。同じクラスなんだけど」
「……あぁ。悪ィ」

ここに入ってから毎日疲れることばかりで、クラスメイトの顔もろくに覚えていなかった。
だがは気を悪くしたわけでもなく微笑んでいる。

「ぶつかっちゃってほんとごめんね。じゃぁ、急いでるから」

そう言うなり、俺の横をすり抜けるように走っていく。
あれじゃまたぶつかるんじゃねぇか、と声をかけようと思ったが、シャンプーかなんかだろうか、胸がくすぐったくなるようなあいつの残り香に気を取られてしまった。

の手を掴んだ自分の手をゆっくりと握り直す。
いつも殴ってる野郎どもとはまるで感触が違った。
感触と一緒にあいつの頬笑みがなぜだか脳裏に焼きついている。

あれ、なんか熱ぃな。風邪でも引いたのかもしれない。


映画タイトルで100の挑戦(フランス映画編)  004:柔らかい肌
映画タイトルで100の挑戦
11.11.14